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当たり前に手放す 15分日記 1109

今年になって
手放したもののひとつが「自炊」だ。

ちょうど1年前に中古マンションを購入・フルリノベーションし、
目にみえるすべてをこだわり抜いて完成させたキッチン。
誰かにとってはここがマイ城(しろ)になろう。

キッチンにいるとき、ほんと四六時中むっかむっかしている
自分のことが恐ろしくなって、
もう手放すことにした。レモンが香る水を
喉にすべらせたくらい穏やかな心もちだった。

外食は天国。天国は外食のこと。私は人がつくってくれる
ご飯が大好きで、がちゃがちゃした店内で
ちゅっと重なりあうグラスの音を愛している。

家での食事の半分くらいは鍋になった。
デパートの惣菜にもくわしくなった。
私が生きる街にいてくれる、すてきなシェフを知っている。
最高にあたたかな心地をくれるレストランに通っている。
おいしいワインを選ぶことができる。
どれも、自炊の代わりに積み上げてきた私の血肉だ。

だから私はここから降りるね。
きらんきらんのキッチンに背をむけて
ネットフリックスを観ます。
自己愛とはこんなにすぐ取り戻せるもの。
良いことだ。とても怠惰で、良いことだ。