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何回も何千回も願っている

音と文。
ふだん、その人がどんなものに触れているかは
小気味よくやりとりするショートなことばから、
伝わるものだ。意外と。

記憶の引き出しを瞬時に開けて、いま渡したい音と文を交換する。

ぽん、ぽん、ぽん。

「この曲久々聴いたけどやっぱいい」
「だったらこんなのも好きじゃない?」
「あげる」
「この歌知ってる?」
「ここの1:50秒から、人生の喜び突き上げてくるのよ」
「秋、呼んでしまった」

ぽん、ぽん、ぽん。

知らないことと知っていたことと忘れていたことと
忘れたくなかったものの交歓をとおして、
できる限り、心を耕していたいと思う。

できればいつもふかふかでいてほしいけど、
時々痩せてしまう。
枯れそうになってしまう。
たたんでしまいたくなる。

そういうときにゴクン、と養分になってくれるまじないが、
私にとっては(誰かに)乱暴に送りつけたり
(誰かに)強引に送りつけられたりして
ふいに胸をかすめる
音だったり何かの一節だったりする。

あなたが嘘をつかなくても
生きていけますようにと
何回も何千回も
願っているのよ
/adeau「よるのあと」

国立図書館に保存したほうがいいんじゃない?と
前々から思ってる美しい歌詞の歌を先日、
ふとしたタイミングで友人に送った。
少し、落ち込んでいた日だった。

「これは君が大事な人にいつも思っていること」

ぽん。

返信がきて、半べそをかいてしまった。

泣き顔でコンビニへハンドルを切り、
向かっていた打ち合わせ先にハーゲンダッツを買っていった。
クッキー&クリームだけを4つ。
つめたいカップで指先をひやしながら、一気に食べた。