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手元にふたつめの月

夜に仕事の文章を書く。
小説を読む。
たまに、声に出したりする。
趣味の時間(ドラム:さぼりぎみ)を予定どおりつくれたら、
悪くないわねと、自分をほめてやる。
大切な人とお酒を呑んだなら、
交わしたことばを思い出してにやにやしたり、
ちょっと怒ったりしながら、けむくさいコートをハンガーに吊るす。
ぜんぶ半径数メートルの世界。
そんな夜の、まぎれもない或る夜の、
溺れそうなくらいいとおしい時間のかさなりが、
手元にふたつめの月を灯してくれる。
と、信じて生きている。